2008年07月17日

大型FPDにおける塗布・乾燥技術の開発と戦略

講師 : 中村サブラヒ・テクノロジスト事務所 所長   技術士 中村 博昭 
日時 : 2008年9月18日(木) 10:30〜16:30
会場 : 東京・江東区亀戸 商工情報センター(カメリアプラザ) 9F 第2研修室

主催:サイエンス&テクノロジー


お申し込みは:こちらからどうぞA080918(FPD塗布・乾燥)1.pdf 

 

講演内容  : <趣旨>
日本型製造業の再生に向けて、今最も注目を集めている研究開発テーマは次世代大型フラットパネルの生産技術開発と言えるだろう。
現在日本はこの事業分野において世界のトップレベルにあるが、これを更にダントツレベルにまで高め、
事業として活性化させて行くことが、国際社会の持続的発展に向けた最も大きな技術貢献であるとの確信から、演者は塗布・乾燥技術開発のイノベーションをどう巻き起こすかというシナリオを前提としてこのテーマを選択している。
新しい技術イノベーションを創り出す為には、過去から現在に至る各時代の技術革新がどのような基盤の上に、いかなる発想、過程を経て実際に積み重ねられて来たのかを分析、理解することが必須となる。この分野の技術革新の流れは、かつて100%輸入に頼っていた映画用フィルムの国産化という国家プロジェクトから始まるが、起点から現在に至るまで10年位を単位に少なくとも4〜5回のイノベーションと呼べるプロセスを繰り返した。その中核をなしている生産技術が、「ダイコーティングとその乾燥技術開発」である。
そして次世代大型フラットパネルの生産技術としていかなる方式が後世に伝承されていくのかは、まだ予断を許される状況にはないが、本稿で掲げる塗布・乾燥生産技術がその一翼を担うことは間違いない。
長年のこの分野の技術的蓄積内容を俯瞰してきた水先案内人の技術開発戦略論が、将来を担う技術者の方々の課題解決のヒントになれば幸いである。

目次:

1.源流から眺めた「新規塗布技術開発」の視界
 1.1 ローラーコーティングからエアーナイフコーティングまで
1.2 ドクターコーティングからダイコーティングまで
1.3 究極の多層同時塗布技術に遭遇
1.4 均一塗工の広幅化、薄膜化、高速化はどのレベルまで行き着くか?

2.乾燥工程技術の変遷と装置開発・設計の実務
2.1 湿度測定の原理、湿度図表の使い方から始まる乾燥技術概論
2.2 光学系薄膜多層フィルムの乾燥工程シミュレーションの実務
2.3 既存のコーティングライン・リフォームから始まる最強の生産技術開発
2.4 最終品質は乾燥技術で決まる!

3.品質故障や工程トラブルの発生メカニズムの解明
3.1 処方設計に係わる諸問題
3.2 工程設計に係わる諸問題
3.3 装置設計に係わる諸問題
3.4 経時変化、突発故障、安定製造・品質評価技術に係わる諸問題

4.大画面塗布得率向上、「一定条件製造」への道
4.1 品質検査では製品は作れない。
4.2 塗布技術の基本は処方設計 (レオロジーを考える)
4.3 精密塗布の成否は、送液技術にある。
4.4 精密送液、ロングライフろ過、オンライン脱泡の決め技は。
4.5 新規の送液工程オンラインモニタリング技術について

5.塗布型有機ELフィルムパネル操業開始に向けたバックキャスティング課題
5.1 大画面・多層・サブミクロン薄膜の塗工技術について
5.2 支持体、塗膜、工程の三位一体条件が不可能を可能に変える
5.3 とてつもない発想の継続が、生産技術イノベーションになる!

2008年04月28日

日本型製造業におけるR&D戦略と生産技術開発の勧め

「21世紀の日本型製造業、その生き残り戦略」について、基本シナリオを描く特別講座!!

主催:株式会社 日本テクノセンター

6月 6日(金) 10:00〜17:00

場所:日本テクノセンター研修室(東京・西新宿)

講師からのメッセージ:
今、日本の社会が苦境に立たされている根本原因は、「技術は経営の一要素」という誤った経営思想に因るバブル経済が、目先のコストダウンに明け暮れた結果です。「日本型製造業」において「技術」は経営の柱です。それを堅持し、持続的な発展を支えて行くには生産技術開発の主役であるテクノロジスト達の活躍が不可欠です。万能細胞の科学情報は一日で世界中に伝わりますが、トヨタの生産技術の修得には、何年かかるのでしょうか。製品の品質は、ISOで保証されるわけではありません。確かな生産技術に基づく「一定条件製造」というモノ作り哲学が、やり直しの効かない高機能複合材料商品の品質を保証します。

 本講座では、21世紀の花形商品分野であるフラットパネルディスプレイやハイブリッドカーの分野を題材にして、日本型製造業のR&D戦略と進化のシナリオを考えます。

梶@サブラヒ・テクノロジスツ 代表取締役 中村博昭


T.日本の製造業 R&D戦略のサクセスストーリー


  1.20世紀の製造業はどのように戦ったか

    a.工学系技術者の目指す企業

    b.失敗国家からGDP世界2位への躍進

  2.生き残った製造業、生き残るための条件とは

    a.トヨタ、キヤノン、ソニー、リコー、シャープ、京セラ・・・。R&D戦略のポイントは?

    b.経常利益1000億円、このハードルをどう越すか?

  3.今、なぜ製造業は再び中国大陸を目指すのか?

    a.行かされる者、残る者、マネージメントに伝えたい、テクノロジストの着眼

    b.「日本の製紙産業」、中国で敗戦を迎えないために 

  4.21世紀、「日本型製造業」の戦い方

    a.選択と集中、負けない着手の選び方

    b.足し算では見えない最善手




U.生産技術開発の進め 重要性と成功のためのポイント


  1.AD変換の向こう側に何が見えるか?生産技術開発力のパラメーター  

  2.テクノロジストの生産性が成否を分ける (勝者と敗者)

  3.開発チーム、リーダーの進化論 「セレンディピティーよりもジャパニティー」

  4.あなたのチームの開発力を採点します

  5.独自な生産技術開発の要件

  6.実験計画法、田口メソッド、K−T法、中沢メソッド等各種手法の現場での生かし方  

  7.要素技術の見つけ方、育て方  「強い基本処方を育てる」

  8.パイロットプラントはこうして作る シミュレーション効率化

  9.製造プラントの基本設計、生産設備は全て自分で作る

  10.コーティングライン・リフォームの現場。 「40、50は働き盛り」




V.製造業における新規商品の事業化戦略


  1.新規商品とは?「商品を作れ、製品を作っては困る」

  2.新規商品の種は、どこでみつけるか?

  3.ドメイン・アイデンティティ(本業を生かす新事業創造)

  4.大山鳴動、ねずみ一匹・・・。「大型プロジェクトの失敗学」

  5.製造業における特許ビジネスの戦略分析 成功事例、失敗事例




W.ますます面白くなる「モノ作りニッポン」の主戦場


  1.高機能複合材料分野の生産技術

  2.光学系高機能フィルム製造工程の生産技術開発

  3.FPD分野の先陣争い、技術コンサルタントの視点

  4.生産技術コンサルタントの役割

お申し込みは、こちらからお願いします。http://www.j-techno.co.jp/
2007年09月30日

「なぜ生産技術開発が日本にとって重要なのか」

日本において高機能複合材料の生産技術開発が始まったのは1934年(昭和9年)、私が生まれる10年前のことである。即ち、欧米列強との生存競争において対等に戦うためには、当時の重要な軍事戦略技術である銀塩写真感光材料の国産化が必須課題であり、映画用の写真フィルムを国産化する使命を担って富士写真フイルム株式会社が創立された年である。それまで我が国では映画用写真フィルムを製造することが出来ず、全量を欧米からの輸入に頼っていた。銀塩フィルムのような高度な生産技術を必要とする製品が国内では作れなかったのである。勿論、銀塩写真の基礎技術そのものは200年以上前に発明されており、当時としては誰でも知識として知っている技術ではあったのだが、知っているのとそれを工業的に生産できるのとはそのレベルにおいて大きな違いがあることを十分認識しなくてはいけない。
また、何ゆえに映画用写真フィルムが軍事戦略的な必須技術であったのかと訝る方も多いだろう。人類が手にした先端技術というモノは皆、その時々の軍事戦略的な目的に端を発している。即ち、如何に相手と有利に戦うかということなのである。
この歴史的法則は、現代においても当然生きており、世界を制覇するためには先端分野の生産技術開発力というものがその国の軍事的、国際経済的な序列を決めているといっても過言ではない。核兵器やミサイルの技術ばかりではなくスーパーコンピュータによるシミュレーション、人工衛星を使ったGPSナビゲーション、レーザーによる集積回路微細加工や耐熱性プラスチック、炭素繊維材料といった先端材料分野などと同じように、映画用写真フィルムの製造は当時の軍事戦略的な重要技術であったのだ。
映画用写真フィルムが軍事目的として使われて、それがその国に経済発展をもたらしたのではない。その生産技術の発展が、従来の映像文化を一新し、新しい文明を生み出したのだ。日本が20世紀最大の失敗国家と言われた程のどん底から立ち上がり、戦後半世紀足らずの間に奇跡的な復興を遂げ、最大の成功国家(GDP世界2位)に変革して行く過程でこの映画用写真フィルムの生産技術開発の果たした役割は計り知れないだろう。
私は、1968年(昭和43年)に東京大学工学部化学工学科を卒業し富士写真フイルム株式会社に入社して生産技術開発の一端を担当することになった。当時はまだ国産写真フィルムの生産技術は世界の巨人、イーストマン・コダック社(米国)のレベルには遠く及ばず、貿易自由化、資本自由化と矢継ぎ早に次々と押し寄せる国際化の荒波をどのように凌ぐかで、戦々恐々と緊張に満ちた日々を送っていた記憶が今でも鮮明だ。だが、この難局を突破する最大の武器は独自の生産技術開発であったということを私達は身を以って体験した。日本の製造業が経営資本力と生産や売り上げの規模、市場シェアと利益率、先行知財力と研究開発資金力、過去の経験、製造ノウハウの蓄積量などなどどの指標をとっても圧倒的に勝る先行企業に立ち向かい、対等に戦う手段をどのように探したらよいのだろうか。この難題に明解な回答ができる経営学者や企業経営者は、今の時代恐らくどこにもいないのではないだろうか。彼らは常に「寄らば大樹の陰」で、逆転の発想というものが著しく欠けている。
生産の現場を知らない、テクノロジストではない人達にこの答えを求めるのは酷というものだろう。
私の生産技術開発の技術コンサルティングにおける最大の関心事が正にこの点にあること、そして日本の製造業が21世紀に、LCCと対抗する手段は生産技術開発しかないということを伝承するのがサブラヒ・テクノロジストグループのモノ作りニッポン、生産技術開発技術コンサルティングの中核テーマである。

安倍政権は、「戦後レジームからの脱却」を掲げ失敗した。
我々が今、最も真剣に取り組まなければならないのは、1990年代の『バブル経済政策の失敗レジームからの脱却だったのだ』
あの頃は、いわゆる就職氷河期と言われた時代で毎年排出される優秀な新卒人材に活躍の場を与えることをせず、彼等の多くが中国などに流れてしまった。国内に残った者は、フリーターなどという勝手なレッテルを貼られて社会的な虐待を強いられている。その結果を少子化や地方の過疎化と言いくるめ、辻褄の合わなくなった年金問題で危機感を煽る誤った認識を正さなければならない。
多少数は減っても、質の高い人材を適切な分野に正しく配置できれば、我が国にとって少子化などは追い風にはなっても、何も問題とすべきことではない。世界中が地球温暖化という問題で騒いでいる中で、我が日本は国家全体の消費エネルギーを最少にできる潜在的ポテンシャルを有する最強の国家である。地球温暖化問題の最大要因は、人口増大であることを忘れてはならない。
少ない人材を有効に生かす分野は、先端分野の生産技術開発しかないというのがサブラヒの結論である。
2007年08月16日

リチウムイオン電池と「モノ作りニッポン」

最近、リチウムイオン電池の市場クレームが新聞のトップ記事となって問題となっている。s-松下電池1.jpg

 これは、先に報道されたソニーやサンヨーのリチウムイオン電池の場合と同じ根っ子の問題である。物作り大国日本の先進トップ企業である上記の三社が同じ根っ子に躓いて、世界市場においてそれぞれが数百億円もの損害を発生されている現実を皆さんはどのように捉えていますか?

 いずれも、日本が世界に誇るトップブランドですがここには共通の弱点があります。それは、彼らが何れも電気産業分野で成功してきたという企業体質に由来することなのでしょうか。
 リチウムイオン電池というのは、それを使う場面は確かにパソコンとか携帯電話とか電気産業分野ではありますが、それを開発、設計、製造、品質保証する本質的な部分は、化学産業分野なのです。しかも各種の特殊なケミカル原材料を駆使した高機能複合材料から成り立っているのです。
 この分野で安定に製品を作るためには、電気産業のような機械加工組み立ての生産技術ではとてもカバーできない製造上のノウハウがたくさんあります。先ず、リチウムイオン電池の設計では共通部品などという概念がありません。どの素材も、各社固有の材料ではありませんか?
上記の電池業界等においては、新安全基準を年内に定めて検査基準を厳しくして対応することをお考えのようですが、そのようなことで対応できるという発想そのものに大きな欠陥があると私は考えております。厳しい検査をしても、一年もの間欠陥に気づかずに製造し続けてきた現実をどのように考えておられるのか私には分かりません。
 根本的な問題は、リチウムイオン電池のような製品、即ち独自の原材料を使う高機能複合材料製品の分野においては、業界共通の出荷検査で製品の品質保証をすることは不可能であるという認識が欠けているということなのです。各社が独自の生産技術を確立し、いちいち出荷検査をしなくても、全ての品質保証が出来るようにならなければなりません。
 これが「一定条件製造」という「モノ作りニッポン」の生産技術哲学です。どうすれば、「モノ作りニッポン」に到達できるのか?
その本質は、「Japanity」です。

ぜひ、「モノ作りニッポン」セミナーにご参加下さい。
2007年07月10日

薄膜コーティングにおける乾燥工程設計・評価と膜品質の安定化

 塗工プロセスにおける最終品質は、乾燥技術で決まる。当初発表した生産が出来ないために発売計画を延期せざるを得ないケースや、一旦発売した製品の回収問題が目に付くが、 ここには量産スケールの品質性能を保証する「一定条件製造」コンセプトが欠けていたと言わざるを得ない。複合化学材料の分野では工程の上流側/先手管理の思想が非常に大切だ。ベンチスケールで確認された品質性能を如何にして量産規模でそのまま実現出来るかのスケールアップ技術で生産技術の真価が問われている。
 「ドクターが大勢いても困る、必要なのはプラクティカルなナースだ」と言われてきたように、日本の生産ラインは「科学」ではなく「工学」技術で培われてきた。
 光学系フイルムコーティングの製造現場が直面する諸問題を解決するためには、人海戦術に頼らない新規の生産技術が欠かせない。ここに自動車や家電などの組み立て産業とは基本的に異なる、精密化学材料分野の本質的由縁がある。先端材料分野で市場が要求する品質を手にするには、テクノロジストの力が絶大であり、どのようにして自らのテクノロジーに磨きをかけたらよいか、その戦略の選び方を考える。
試作品の性能発表の陰に隠れてしまっている「現場の工程実力」を分析し、その課題解決の「現場力」がどのようにしたら高められるかを考えるのが本講の主題である。

1.乾燥品質とその工程設計
 1)乾燥品質とは 
 2)乾燥特性曲線とは
 3)乾燥条件と乾燥時間の算出法
 4)乾燥装置仕様書の作成事例と乾燥装置の製作現場

2.乾燥品質トラブルはどうして発生するのか、工程設計の何が問題か
 1)乾燥品質トラブルには、どのようなものがあるか
 2)材料物性をどう工程、設備設計に盛り込むか
 3)乾燥設備の設計、製作、施工について
 4)生産工程管理上の諸問題

3.乾燥品質トラブルの原因究明とそれを未然に防ぐ評価技術
 1)原因究明が難しい乾燥品質トラブル事例
 2)乾燥品質を的確に評価するためのポイントについて

4.「一定条件製造」確立のための具体的なステップについて
 1)フェスツーン乾燥→ノズル乾燥→アーチ乾燥→U型乾燥→フローター乾燥
 2)塗布工程の先手管理に有力な要素技術とは
 3)「戦艦大和」から「宇宙戦艦ヤマト」の時代へ向けた戦略的塗工技術開発

<質疑応答>

お申込は:中村サブラヒ・テクノロジスト事務所または財団法人日本工業技術振興協会(03-3597-7888 上ノ山)まで。
2007年06月09日

生産技術開発の本質

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生産技術開発とは、そもそも何か?
生産技術開発というのは、そう簡単に誰もが手がけることの出来るテーマではない。「特別な使命感を持ち、世界最強を目指す意識に燃えた集団」を自負するもののみに参加資格がある特別の領域と言ってもよいだろう。
そのメンバーは皆、一人一人独特の個性を持った選ばれた存在で、常に相手をどのように出し抜くかの戦略ばかりを考えている人たちだ。構想を成功させる決まったやり方が確立されているわけではない。全ての試み、一つ一つがどれも「世界初」という要素から成り立っている。
そして、その開発リーダーたる人物は、メンバーの全てから信頼されていなければならない。そうでなければ、一人一人とても個性の強いメンバーからなるチームを束ねることは不可能だ。
最近の日本の組織には、そのような人材が少なくなってきた。このことが、「モノ作りニッポン」の地盤沈下をきたしている最大の要因であると私は考えている。
皆さんは、30年以上経過しても依然として風化しない、強い絆で結ばれた組織があるという事実を信じられますか?
これからの日本の製造業は、世界市場においてこのような意識を明確に抱いている組織のみが存続できる分野である。
幸い私達の周りには、豊かな市場が身近にある。その市場をターゲットにした高機能商品の生産技術開発をどう磨けるか。
私達の「モノ作りニッポン」のチャレンジの本質は、まさにここにあると私は確信している。
2007年05月23日

問題は、量ではなく「質」

質が問題

 量的な躍進の著しい中国の勢いに圧倒された政治家や経済人達は、直ぐ短絡的に日本の製造業の将来を悲観する見解を喧伝しているがいかがなものか。
 数字だけを操って将来的な青写真が見えないものだから、「貿易黒字のあるうちに金融立国を目指せ、頭を使え」等という無責任な発言が平気で飛び出すのだと思う。これまで、日本の経済人、政治家が頭を使って厳しい世界を相手に成功した例がない。
 
 日本人は、もっともっと愚鈍でもいい。地道に自らの腕に磨きをかけることが相応しい国民性を持っている。
 中国の量的な台頭が著しいのは、10億以上の民を抱えているのであるから当然のことで、グラフに表すまでもない。
 ここで重要なのは、グラフには表せていない「質」の問題があることを忘れないで頂きたい。
 
 我々ニッポンのテクノロジスト達は、元来この質に拘って成長してきた実体験をそれぞれが持っている。

 この本質を理解することが、これからの「モノ作りニッポン」を再生させるために極めて重要で、必須のことなのである。

 中国の鉄板では、トヨタの車は作れないし、明石大橋の要であるワイヤーも作れない。
2007年05月23日

工学離れ?

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今、日本の大学ではどこでも優秀な人材の「工学離れ」が大きな問題となっている。日本の製造業が高度成長を達成し得たのは、優秀な人材が工学分野に集中していたからである。1960年代には、誰もが理科一類(工学分野)を目指していた。しかし、現代の風潮としては誰がいかなる焚き付けを行なったのか、優秀な人材が皆理科三類に流れてしまうのだそうだ。
日本の国家というレベルでの繁栄を目指すためには、理科三類分野に人材を偏重させるというのは大きな誤りである。
医療やバイオ、サイエンスという分野をないがしろにする気は毛頭ないが、21世紀の日本の発展ということ、国民福祉の源泉を稼ぎ出すこと、強いては日本の国際貢献の責任を果たすためには、工学分野に適材を適切に配置することが喫緊の課題である。
上に掲げた図表は、新日鐵を工場見学させて頂いた際に配布されたカタログから拝借したものである。
「鉄は国家なり」で見事に立ち上がった製鉄業が、重厚長大という技術者にとっては何の責任もない、経営者の大きな錯誤のお陰で人材的な衰退に向かってしまった様子が見事に表現されている。
しかし、現代は巨大な中国市場の出現により、「再び、鉄は国家なり」の道が復活してきたのは日本国民にとって幸せなことである。
21世紀の優秀な人材は、どんどん「工学」を目指していただきたい。「モノ作りニッポン」の源泉は、工学なのであることは紛れもなく日本人の本質なのである。
2007年01月09日

サブラヒ「モノ作りニッポンセミナー 2007」

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私の2007年の抱負は、「モノ作りニッポンの復活」です。
 「日本の製造業の空洞化」、「工学離れの日本」という空気が今の日本社会には蔓延しているようですが、永年生産技術開発分野で仕事をしてきた技術屋としては、非常に違和感のある風潮です。
 モノ作りの本質をまったく理解せず、知識・経験は疎、現場も知らずに、専門家の意見もさしおいて勝手に似非理論を振りかざすのは困ったものです。
 次世代の技術者に、「20世紀、日本の奇跡」をしっかりと伝承し、更に進化させて頂こうというのがこのセミナーの狙いです。



セミナーのご参加は、こちらをクリック
2007年01月09日

光学系フィルム、生産技術開発の基本

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 私にとってこの物性データのグラフは非常に懐かしく、思い出深いものがある。
 私が新入社員であったころの資料であるから、30年以上も経っていることになるが、依然として光学系フィルム製造の生産技術を考える場面では、その重要性は変わっていない。

 即ちこれは、いわゆるセロファンDACそしてTACのそれぞれのフィルムの物性の違いを比較したグラフなのであるが、左の図の横軸は相対湿度(RH%)となっている。

 相対湿度(RH%)は、それぞれのフィルムが晒されている空気の湿度で、通常アスマン湿度計で測定する。即ち、湿球温度と乾球温度を測って空気中の水分量を測定したものである。

 この相対湿度が変わったときに、それぞれのフィルムの平衡含水率がどのように変化するものなのかが示されている。

 この挙動が光学系フィルムの生産技術的な諸問題を考える上での出発点になる。

 右の図の横軸には、それぞれのフィルムの厚さが目盛られている。光学系フィルムの品質設計を考える上で、その厚さをどのように決めているだろうか?
 たとえば、この図では厚さが変わったときにそのフィルムの透水率(Permeability)がどのように変化するかを示しているが、いずれの図でも水分が重要なファクターとなっている。

 
 
「光学系フィルムの品質は、乾燥技術で決まる」という切り口が、今皆さんが抱えている問題点の解決につながるかもしれない。


 もし皆さんがこのテーマに関心をお持ちであったら、サブラヒの「モノ作りニッポン」セミナーをご用命下さい。(こちらをクリック)

 参加人数は、何人でも結構です。(生産技術の開発は、緊密なチームワークが基本です)
2006年11月14日

「モノ作りニッポン」の本質について

 日本は、21世紀も世界経済の枠組みにおいては、モノ作り国家として自らの存在価値を一層高めていくことが必要である。
 では、「モノ作りニッポン」の核心とは一体何なのか? この認識がぶれていたのでは、次々と良い結果を生み出していくことは難しい。日本は技術立国で、技術力によって飯を食っていくのだとよく言われるが、実はその技術というモノにも核心技術とそうではないものとがあるのだが、一般的にはその区別が分かっていないことが大きな問題だ。

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 日本のりんご、「富士」は世界的にも有名だ。ご覧のように大きさ、色艶、香りそしてその風味、どれをとってもこれの右に出るものはないと言えるのではないか。中国へ行っても、日本のりんごのブランド力は大したものである。しかし、「モノ作り技術の核心は何か」ということをこのりんごに喩えると、先ほど上げた「大きさ」とか、「色や艶」、「味」と言ったところは、それこそ上辺のこと即ち、周辺的なことであり核心ではないということを私は言いたいのである。ある製品があったときに、商品の価値というのは外観や表層的な部分で評価されるが、「モノ作り技術」という視点に立つと最も重要なのは、正に「核心技術」なのである。
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食べてしまって全く見向きもされないところに、「モノ作り技術の核心部分」があり、それこそが私達が本当に大事にしなければならない所なのだということを日頃より認識していただければ幸である。


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2006年10月11日

光学系フィルムの生産技術開発とは?

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 最近流行の用語として、光学系フィルムというモノがある。
 一体「光学系フィルム」というのはどのようなものを指すのであろうか。

 40年以上前には、写真用の支持体が光学系フィルムと殆ど同義であったと私は考えている。

 40年前光学系フィルムの要件:
 1)透明で曇りがなく、光学的欠陥がない。
 2)化学的に安定で、各種ケミカル物質に不活性である。
 3)水分の影響が出来るだけ少ないこと。
 4)引張り、引裂き、ねじり対して強く、粘りがあり、硬質でしかもしなやかであること。
 5)温湿度、長期保存に対し、寸度的に安定であること。
 6)ガラス転移点、融点が高いこと。
 7)燃えにくいこと。
 8)安価に製造できること。

 これらの全ての項目に対して及第点をクリアーして商品になったのが映画用カラーポジフィルムであった。

 ここで重要なポイントは、「光学的欠陥がない」しかも「安価に製造できる」ということである。

 繊維や成型品として市販されているポリマーから如何にして光学系フィルムを作り上げるか。

 ここに、サブラヒの提唱している「生産技術」の本質がある。

 高付加価値の大量商品を作るには、「ドクターは要らない、プラクティカルなナースが必須」と言われる所以がここにある。
2006年08月04日

日本の製紙産業再構築の基本シナリオ

 我が国の製紙産業再構築は、「モノ作りニッポン」セミナーのメインテーマの一つで、私自身も各所で持論を述べてきたものである。
 最近、一般にとっては唐突な感じで王子製紙の北越製紙に対するTOB構想が公表になり、メディアでもトップ記事で連日報道されるところとなり、俄かにこのテーマが脚光を浴びることとなった。

 この社会的話題の去就がどのようなものになるのかは、全く予断を許さず、私もそれについて考えを述べる積もりはない。
 しかし今回の一連の騒動が、本筋である「モノ作りニッポンの再構築」という目的に対しては全く無意味な結果になるということだけは生産技術開発を専門とする技術者としては断言できる。

 製紙は、人類の長い歴史においても最も古い歴史がある産業で、その発祥はアジア圏にあるということで私達には特別の思い入れがある。その産業のあるべき姿をどのような形で実現させるかが私の生産技術者としての基本課題と考えている。
 「モノ作り大国」の誇りにかけても、「私達は紙をこのように作ります」というものを世界に発信できる機会が遠からず来ることを夢見てきた。

 東南アジア、中国等最新鋭の世界最大級抄紙マシーンから抄き出される上質紙が大量に日本の市場に押し寄せてくるという恐怖観念が先にたって、天下の王子製紙としても非常手段に走らざるを得なかった心情は容易に理解できるが、TOBなどという技術とは無縁の手段に出るというのは、技術者である私の発想には全くなかったので驚愕させられた。
 技術の分野で全くその基本知見を有さぬ経営アドバイサーの言葉に乗せられて行動したのが今回の騒動の発端ではなかったのか?「モノ作り」の分野では、技術の本質を理解できない人たち(私は彼らは本当に理解できないのだとしばしば思うのだが)の言葉には、注意が必要だ。
 昨今は、熱力学の基本法則に全く反する言動が清清と大手を振って世の中に蔓延している風潮が目に余るが、技術者はもっと自らのプロ意識を自覚し、技術的な命題に信念をもって立ち向かう勇気が必要なのではないか。
 「モノ作り」は、基本的に技術者が主導する分野であり、そのチャレンジ精神が発揮できないようでは、そこはもう努力する価値がないと言っても良いだろう。北越製紙陣営の人達の誇りは、恐らくそこにあるのだと思う。効率や規模の問題は、誰の目にも共通に見える分野に限るべきで、1+1=2が通用しない技術開発の分野に適用し過ぎると大きな誤りとなるのは過去の歴史が示している。

 かって、私達は写真業界にあって世界の巨人、イーストマン・コダックとの戦いで日々明け暮れていた。自分達の育ててきた日本市場を外部からの侵攻に対してどのように守っていくかは、一企業の問題ではない。産業界全体、ひいては国家の重要課題である。この問題に対しては、産・官・民が一丸となって取り組まなければならない課題であるということを全員で共有化することが先決であるということを先ず言いたい。今回の問題に対して、経済産業省の働きかけが見えてこないのは意外であり、国の産業戦略不在を強く感ぜざるを得ない。かっては、このようなことはなかった。

 そして、今産業界が何をしなければならないかということに対しての私からの提言は、新規技術開発ということである。これがなければ、その製造業は日本という国においては立国政策上存在価値がないといっても過言ではない。

 私達は、産・官・民一体になって取り組めば、如何に大きな相手であろうとも自分達の育んできた市場は必ず守れるという信念が間違いではなかったことを写真業界という世界の市場競争において体験してきた。
 その際に最も重要なことは、産業界が世界をリードできる独自の生産技術開発を諦めないということである。

 「紙は文化のバロメータ」といわれる分野において、我が国の製紙産業界が、もっと積極的に生産技術開発に取り組む気概を示すことが「モノ作りニッポン」としての本質的な命題なのである。

 日本製紙産業界には、相手を差別化できる自前の生産技術がないというのが、これまでの業界全体の基本的な弱点としてあることを、私は隣の業界から眺めて常々感じてきたところであるが、先ず最初に取り組んで頂きたいのはこの体質の払拭改革ではないだろうか。
 製紙産業は、私達の日常生活に密接にかかわる分野であり、私達の文化、環境哲学にも非常に影響の大きい重要分野であることを改めて認識し、その再構築を真剣に考えて行こうではないか。国はその努力を見捨てることはないと思うし、国民一人一人もその努力に声援を送るはずである。
 
2006年06月16日

各種塗布法を用いた薄膜形成メカニズムと塗布膜乾燥技術の最適化

 標記のタイトルで技術情報協会主催のセミナーが6月21日に開催されます。

 本講座の主旨は、

 ○ 高機能、高付加価値コーティング材料の生産プロセスは、各種の要素技術の有機的な組み合わせによって成り立っている。

 ○ いかに、高付加価値で収益性の高い商品であっても、その事業の基本骨格となる生産技術の筋道が適切でないと、最終的な競争に勝ち残ることは難しい。

 ○ コーティング製品の製造で最後に生き残る決め手は、生産技術の骨組みとその進化である。

 差別性のある品質とコスト競争力を確保するための要素技術の「選択と集中」について、そのポイント・ノウハウを紹介する。
 
 21世紀のモノ作りニッポンを担う若い生産技術開発者の方々のご参加を期待いたします。 
2006年05月24日

魚の骨は、どう進化する?

s-魚の骨.jpg
 前回石川先生の考案された「魚の骨」の続きのお話しを致しましょう。
 グループで自工程の品質管理の検討会を進めると次第に魚の骨組が立派になって行きます。

 例えばここで示した魚の骨は、ウエッブ掲載のため多少形式的にアレンジしてありますが一応魚の骨らしくはなっています。
 
 しかし、石川先生に言わせるとこれではまだまだだということなのです。この程度ではとてもQC活動として使い物にはならないと度々教室でおっしゃられたのが思い出されます。

 その時の先生の表現をお借りすると、魚の骨がもっと進化したのが「ゴジラの骨」なのだそうです。
今、ゴジラ松井は骨折で休場中ですが、工程安定化のためのゴジラの骨組は一体どのようなものなのかを考えてみませんか?
2006年05月08日

「新規商品開発」と「生産技術開発」の違いについて

「コーティング」というのは、素材、材料メーカーが供給してくれる各種の原材料を使って付加価値の高い製品に仕上げるモノ作りである。

この分野は、これからの日本製造業がLCC(Low Cost Country)と対抗して勝つことのできる貴重な事業分野である。
なぜならば、高機能、高付加価値商品のコーティングという分野は非常に奥が深く、試行錯誤の繰り返しで漸く答えが見えてくる世界であるからだ。経験力が物をいう世界と行っても良いだろう。

 大量に作られた安価な原材料を如何に組み合わせ、複雑に加工し、より高機能な製品に仕上げるかの生産技術力が問われ、その良し悪しでビジネスの成否が決まる。生産現場の高度な判断力が育たないと、ビジネスとしての成功は難しい。

 ありふれた材料からどれ程の高機能な性能を引き出せるかという「商品開発」の領域は、非常に高度な技術力が求められるし大勢の研究組織陣や設備、膨大な資金を要する。従ってこの世界は、誰もが参画できる世界ではないのある。
そして、貴重な時間とお金をかけても、成功するとは限らない。事実、とてつもない大きな失敗に終わるプロジェクトが世の中には山ほどあった。(失敗プロジェクトが公表されることはないため、世の中では話題とならないだけだ。)

商品開発プロジェクトのような「一将巧成り、万骨枯る」の世界を一般論として論じるのは、私の本意ではない。

 しかし一方、「生産技術」という分野は全然違う世界である。製造現場における個々の技術者が正しいやり方で地道に努力することにより、必ず成果を挙げることができる世界なのである。

 現在売れている商品の生産性をどう高めるかというテーマは、参画し一緒に努力を重ねた仲間と成功体験を共有することが約束された世界なのである。「地道な努力」というのは、誰もができることなのだろうか。
 そうではない。世界中、どこをさがしても日本人ほどそれが得意な民族はいない。私が、「モノ作りニッポン」を強調する所以である。この本質的な強味を一層、磨き上げること、それがLCC陣営に対抗する私の基本戦略なのだ。

 30年に及ぶ実務経験から得られた確信がそこにはあり、それを次世代に確実に伝承したいという思い、これが私のモノ作りニッポン技術コンサルティングの原点になっている。

 
2006年05月07日

塗布工程トラブルの対策法

 塗布工程の現場には、塗布理論やコンピュータシミュレーションでは解決できない生産上の具体的な課題が無数にあります。理論は、塗布が可能か否かの机上判定を出してくれるかもしれません。しかし製造造現場が直面している経時変化の問題や、微小な筋、スポット、継ぎ目、耳部の問題、環境変化、ロット間差、突発故障といった問題には、なかなか答えを出すのが難しい。
高機能、多層膜で構成される各種の塗工製品ですが、その工程トラブルや品質故障の原因究明と対応策、得率向上手段などについて特効薬はありません。日々頭を抱えている現場技術者の立場、視点で考えるのが本講座の狙いです。

日時   平成18年5月29日(月)
会 場  [東京・王子] 北とぴあ 9F 901会議室
主催   技術情報協会
2006年04月14日

Cause and Effect Diagrams

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塗布工程の品質故障、トラブルのCause and Effect Diagramを作成してみましょう。

 塗布故障、トラブルが発生する原因をカテゴリー別に整理してみます。

この整理した図表が魚の骨のように見えるので、Fish Bone Diagram と呼ばれています。

 皆さんの工程担当メンバーによるグループ活動で、話し合いの中からこのような整理をされると特に効果的です。

 このようなQC活動の手法は、東京大学の石川馨先生が提唱されたもので、日本式品質管理として、世界的にも評価の高いものです。

 一見単純と思われるこのような作業を地道に積み上げることが、次第に自らの工程管理能力を、見違えるレベルまで高めていくことになります。

  
2006年04月14日

塗布品質故障、コーティングトラブル解決への第一歩

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 コーティングは、高付加価値商品を生み出すための有力ツールであると言いましたが、そのための生産プロセスの確立というのはそう簡単なことではありません。

その難しさにこそ、私達日本がモノ作りの分野で活躍できる源泉があるのでしょうネ。

高機能、高付加価値商品であればこそ、その要求品質はとても厳しいものがあります。

日夜、その高付加価値商品の製造管理を担っている塗布現場の係長さんの立場に立って、どのようにしたら塗布品質故障、コーティングトラブルに対処していけるのかを考えてみたいと思っております。

まず、対決する自分達の敵、相手の存在をしっかり見定める必要があります。

どのような工程トラブルが存在しているのか、その氏、素性をリストアップしそれを分類する作業から始めましょう。

全ての工程トラブルにはその原因があります。その原因を明確にすることが非常に重要なのです。

 上の図で、左から右へ向かう太い  印は、原因から結果が生じる流れを示しています。

右の先にある四角い箱は、原因に対する結果を示し、例えば今の場合は塗布品質故障やコーティングトラブルがこの箱の中に一括してあると考えてください。

一般に一つのトラブルに対して、その原因は一つと考える訳には行きません。トラブルとしては一つに分類されるものでも、その原因として考えられるものが、いくつもある場合があります。

 また、塗布品質故障、コーティングトラブルの種類も通常多数あると思いますね。

 皆さんの生産ラインの品質故障は、何種類くらいあるのでしょうか。
 それらを詳細に網羅、リストアップする作業が解決への第一歩となります。
2006年04月14日

感圧紙の歴史に学ぶ、「モノ作りニッポン」のサクセス・ストーリー

 ノンカーボン紙が初めてこの世の中に登場したのは、1954年のことである。

 NCR社がマイクロカプセルと言う新しい技術を開発し、それを製紙産業という母体で、複写帳票用紙分野に応用して商品化に成功した。この構想がスタートしたのは、1938年だそうで商品化までには15年以上をかけたことになる。欧米で普及していた事務用タイプライターのリボンを無くせないかというのがきっかけだったと聞いている。

 この新規商品のキーテクノロジーは、ゼラチン溶液におけるコアーセルベーションという現象を応用したマイクロカプセル技術であって、このような発想がどのようにしたら生まれるのかについては、偶然と天才のなせる業としか言いようがないと私は考える。

 しかし、この新規商品をいかに生産するかという分野になると、そこはもう生産技術の世界であり、私達「モノ作りニッポン」の独壇場となるのである。

 私達の先輩がNCR社の商品を認知したのは、1958年であり約4年先行している相手に対して、果たして戦えるかモノなのかの調査・分析が始まった。

 そして、5年後の1963年に試作販売を経て本発売にこぎつけることができた。

 N米国NCR社の研究開発陣が16年を要した過程を、三分の一以下の期間で当時成し遂げたことになるが、この力が「モノ作りニッポン」の原動力の証であると私は思っている。

 ノンカーボン紙の生産技術は、当時としては非常に独自なもので世界中を探してもNCR社以外にそれを保有しているグループはいなかったし、彼らからの技術導入なしでそれを生産できるという見通しを立てられる会社はなかった。

 しかし、彼らの夥しい特許情報を見ただけで、これはとてもかなわないと考えるか、このような内容なら自分らにも充分出来ると考えるかの分かれ道の決定が即ち、その会社の生産技術力であると私は考えている。

 実際、全くノンカーボン紙を知らなかった人があらゆる種類の原材料を調達し、調液キッチン、塗布機、各種ロール/シートの加工機を整えて事業化できるという生産に対する技術力は凄いと思う。

 私達の売り出した商品は、「感圧紙」即ち圧力にて発色する特別な紙ということで、商品ブランド名がそのまま日本では普通名詞として使われるようになったのである。
2006年04月13日

「一定条件製造」、その本質は何か

魚の骨

 モノ作りの基本は、自らの製品の品質保証をどのような思想で行っているかだと思います。

 20世紀に日本の工業製品が世界の市場を席巻した、そのお陰で今日の経済大国日本があるということは、もう言い古されたことかもしれません。
 現在の優良製造業といわれる企業は例外なく、自社の品質保証体制をどう築き上げるかを競い、品質保証オリンピックの金メダルといわれたデミング賞受賞を目指したものです。

 品質保証のその本質は何か、と問われれば私達は躊躇なく如何にバラツキを極小にするかの独自の工夫であると応えるでしょう。
そのワールドカップが、デミング賞でありそう簡単に受賞などできるものではなかったのです。

 20世紀終わりに、品質保証の世界にISOなるものが世界中で導入され始めました。その時私は、工場の製造現場にいたのですが、率直に申せば真に奇妙なことをするものだなあと思いました。
 何も技術のない町工場ならいざ知らず、あのような活動で製品の品質が向上するはずはないということを誰もが経験的に充分知っていました。営業サイドから導入しなければ、もうビジネスがやっていけない時代だと強行に言われ、仕方なく取り組んだというのが日本の各工場、製造現場の本音ではないですか。
 日本ばかりではありません。ISOの本場、欧州でも私が技術指導に訪問した各工場の現場では、ISOの話をすると皆返ってくるのは苦笑いばかりでした。
 殆どの企業がISO認定企業になって、「皆が金メダル企業」だと名刺にも派手に印刷しているようですが、品質が実際このように向上したという話しを私はまだ見たことがありません。
 ISOに主体的に取り組んでいる品証課の人たちにも、余りその仕事に対する誇らしさが感じられませんネ。
「皆がやっているから・・・」というのでは、私達は全然面白くならないのでしょう。

 自社の製品の品質向上達成、そして真の金メダルを取るためには一体何が必要なのでしょうか?

「独自の堅気のモノ作り哲学」が不可欠です。


私がこのセミナーでお話しするのは、その本物の「モノ作りニッポン」です。
2006年03月10日

電気屋さん、大画面に四苦八苦

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 今電機業界は、大画面ディスプレイの開発分野で熾烈な戦いを繰り広げている。液晶、プラズマ、SED等それぞれの方式を掲げて製品化のための生産技術開発にまい進しているわけだが、ここで最も苦労をしているポイントは、大画面化ということである。
 手直し、補修の効かない精密塗布の分野では地道な生産技術開発、そして「一定条件製造」という概念を修得しないとこのモノ作りは成功しないのである。
 自動車とか精密機器、一般家電製品などの分野は、品質検査体制の確立でそれなりの生産ラインの構築が可能である。
 しかし、大画面精密塗布という分野は特別である。いくら検査体制を強化しても品質は向上しないし、製造コストは下がらない。
 検査の質を高めれば高めるほどロスが増え、製品のアウトプットが不可能な事態に追い込まれて行くのである。いくら、人海戦術で対応しようとしても解決は出来ない。
 重要なのは、生産技術開発である。検査をしなくても品質が保証できる生産システムの確立がそれである。
 それを私達は「一定条件製造」コンセプトとして、「モノ作りニッポン」の根幹に据えて取り組んできたのである。
2005年10月02日

「送液技術」という分野  機能性材料の脱泡、ろ過は?

 コーティング分野の技術として欠かせないものに「送液技術」というものがあります。
 送液ということがこれ程奥が深いものであるかと実感するのが、ダイコーティングをはじめた人達に共通する感想ではないでしょうか?
 非常に高機能な材料であればあるほど、その送液技術というものは重要になってきます。取り扱う液も、非常に高価な液ですから、ロスは出したくない。しかし、不完全な状態で液を塗布に送り込むと、それは今度は製品ロスというより大きな形で跳ね返ってきてしまいます。
 異物故障を出したくないとフィルターのメッシュを上げると、かえって故障が増えたとか、フィルター交換の頻度が増えてどうしようもない、送液圧力がすぐ上昇してしまうという話はよく聞きます。
 
 送液内の泡を取るのも非常に重要な技術になります。テスト段階では、液を事前に脱泡することは比較的簡単ですが、いざ長時間の生産というステップに進むと急にクローズアップしてくる問題は、脱泡問題なのです。
 これらの送液上の問題をお抱えの方は、ぜひ当方の洗心塾「モノ作りセミナー」の門をたたいて下さい。
 また、ご用命をいただけば直接御社の工場、現場にお伺いします。
 直接、専門技術士の中村サブラヒが診断させていただきます。
2005年10月02日

コーティングといえば・・・。カーテン。表面張力、脱泡、濾過、無接触フロータードライヤー乾燥・・・。

 今、コーティング分野の新技術と言って連想ゲームをすると出てくるキーワードのベストテンは何か?
 その答えは、カーテン塗布(SSG方式)、動的表面張力、レオロジー(ウレオロジー、流変学)、脱泡・濾過、同時重層塗布、高速薄層、スロットダイヘッド、プロファイル、フロータードライヤー、無接触乾燥装置・・・。
 私達の「モノ作りニッポン」技術コンサルティングは、これらの全ての課題に最高の回答をご提供できる自信があります。というのは、私はこの分野で20年間、工場の仲間達と共に日々の糧を得させて頂いた実績があるからです。2000年を境に、いまその培った技術をより広い事業分野へ活用展開する企画を展開しています。そしてそのターゲットは、最先端コーティング分野ばかりでなく、既存の生産ラインのリフォームによる事業再構築へも向けています。
 そしてそれを実現するのに最も適したシチュエーションは、今稼動している皆さんの現有生産ラインなのです。こういっては全く失礼千万であることを承知で、あえて言わせて下さい。現有のラインが旧式で廃業寸前であればあるほど、私達の技術を導入する効果が最大になります。古い設備の土台の上に、私達の「SSG輪郭コーティング方式」はすんなり納まる特徴があるからです。新規に設備を建設する資金余裕がなくとも直ぐに導入、採用できるところが他の技術コンサルティングサービスとの違いです。
2005年10月02日

「一定条件製造」とは、一体どういうこと?

 「一定条件製造」という言葉を聞いたことありますか?これは、製造業における品質管理に関わる非常に重要な奥行きを秘めた概念です。表面的には、一定条件で製造することに拘り、品質故障を出さないということです。暗室で全ての重要な製造工程が構成されている写真材料メーカーでは、一つ一つの製品を目で確認することが出来ません。これはそのような、特殊な事業分野で生まれた概念です。
 私たち生産技術者の立場でのこの概念の解釈は、「生産ラインは、品質測定器」ということになるでしょう。生産設備・工程技術に対する圧倒的信頼が、この言葉に集約されています。もし、万一に品質故障が出るような状況があったとすれば、それは原材料の何かが悪かったと言い切れる自信があるということです。測定器は一定条件で測定するので、測定器たり得るのです。生産ラインも一定条件であれば、品質測定器になります。私たちは、紙やフイルムなど多くの支持体原材料を日々扱ってきました。個々の支持体材料の良し悪しは、塗布機にかければ直ぐ分かります。材料の特性を正確に見極めて入念に設計された生産ラインというものは、その材料の品質バラツキを把握する最も精度の高い測定器なのです。通常の品質評価測定器ではとても感知できない品質が、生産ラインへ乗せると30分即ち1ロール塗布しただけでたちまち分かるのです。
2005年01月01日

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