
有機ELの大型パネル開発競争は、いよいよ「バックキャスティングモード」に入ってきた。成功する革新的な生産技術の開発というのは、これまでも常にこのモードで行なわれてきた。官や大学等で行なわれている様々な技術開発モードとは基本的に違う産業界特有のやり方である。
これからの「モノ作りニッポン」を支えて行くためには、リードする製造業が次々とこのモードで革新的な生産技術開発に取り組むことが不可欠となる。
今から何年後にこのような商品の製造販売を開始するという、リーダーの強い意志を開発者全員に徹底するということが非常に重要だ。当然相当の開発に向けた資源投資も予め準備しなければならない。用地や製造要員の確保も保証されていなければ具体的な構想とは言えないだろう。
有機ELの基本的な発光原理は公知となってもう久しい。試作品も一部先行グループによって発表されている。 では、それを一体どうやって量産するかということになるのだがそれは、当分の間公表されることは無いはずだ。韓国サムスン電子、我が日本のソニー、松下、キヤノンがそれぞれ秘策をもって取り組んでいるようだが、これ以外にも二、三社が参入を計画しているかもしれない。
この勝敗を分ける重要なポイントは、今薄型パネルで全盛を謳歌している液晶パネルとは全く違うシナリオ(キー・テクノロジー)が登場してくるということである。それは、これまで有機ELの材料開発、基礎研究、試作品を開発してきた各研究機関での方法とはまるで異なる方式が登場するということを意味している。 現行の大型液晶パネルを凌駕するための次世代パネルは、まずガラス基板をプラスチックフィルムに代え、バッチ生産をロール・ツー・ロールの連続方式に代えるという大きな「バックキャスティング・命題」がある。 そんなものはそう簡単に出来るはずがないと無理な理由を次々並べ立てるのは、学識経験豊かな研究者のごく一般的な言ですが、生産技術開発者というのは、その路線から外れた非常識、馬鹿の集まりと言えるのかもしれません。
私達は先進的な生産技術開発をいくつも手がけて来ましたが、その奥義がいわゆる学会等で公表されるのには10〜20年はかかるでしょう。とてつもない新しい生産技術が認知されるためには、その技術の再現性が保証されなければなりませんが、第三者が生産技術の再現性を証明するためには、その実証設備がないのです。通常、大型液晶パネルや有機ELパネルの生産設備というのは、世界に一つしかないものなのです。




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